エントランスホールから望む内浦湾と対岸の駒ケ岳
一口で「風邪薬」と言っても、病院で処方されるお薬から、ドラッグストアで市販されているもの、CMでよく見る漢方薬からネギを喉に巻いてみたり大根飴を作ってみたりといったおばあちゃんの知恵袋的な「お薬」までいろいろありますよね。
今回は、お子さんを持つ親御さんに是非知ってもらいたい「抗生物質」についてのお話しです。
[監修者] 要藤 裕孝 小児科部長
大学院にて小児科の基礎を学んだ後、市立函館病院・道立江差病院・留萌市立病院と順に転勤いたしまして『沿岸警備隊』と呼ばれておりました。その後、アメリカのミズーリ大学コロンビア校へ3年間研究留学し、帰国後は札幌医科大学小児科に戻り、北海道の子ども医療の最先端の砦を守ってきました。 洞爺協会病院では、当地の子どもが安心して過ごすことができますよう、小児科診療を担っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 |
さて、問題です。「抗生物質は風邪に効くでしょうか?」
その答えは『いいえ』です。風邪は、病名としては『急性咽頭炎(急性上気道炎)』です。その原因は、9割以上がウイルスであり、『抗生物質』は効果ありません。風邪の原因となるウイルスは100種類以上あると言われています。『抗生物質』はバイ菌(細菌)には効きますが、ウイルスには効果がありません。
それでも「悪さをしないなら、安心のため飲んだ方が良いのでは」と考える人もいるかもしれません。ところが、そうはいかないのが『抗生物質』の怖いところなのです。
『耐性菌』という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。『抗生物質』が効かなくなった恐ろしいバイ菌(細菌)です。『抗生物質』を安易に次々と使うと、それに比例して『耐性菌』が増えてくることがわかっております。このため、『抗生物質』は適正に使用されなければならないことが、全世界的に警告されております。
『抗生物質』はバイ菌(細菌)には効きますが、ウイルスには効果がありません。
『抗生物質』は必要な時だけ、適正に使用することが重要です。小児の発熱で『抗生物質』が必要になるのは『溶連菌感染』『中耳炎』『マイコプラズマ肺炎』など一部の病気に限られます。
大切なので繰り返します。「風邪に抗生物質は効きません」
なぜ『耐性菌』が出現するのでしょうか。それは、バイ菌(細菌)が分裂して増殖するときに、偶然に『突然変異』をする変わり者がいるからなのです。『抗生物質』が効く正統派バイ菌が次々にやられていく中で、『突然変異』をした異端児『耐性菌』だけが増えていくのです。正統派が消えていくのを横目に、異端児『耐性菌』が栄養独占状態で繁殖していくわけです。
なお、医学用語としては『抗生物質』ではなく、『抗菌薬』が正式名称です。今回はよく知られている言葉として『抗生物質』を使いました。
週末の楽しみの一つは、カフェ巡りです。 写真は、とあるパンケーキ屋さんの『悪魔のパンケーキ』です。休日に甘いものを食べて、リフレッシュしております。 |