ベーシック教育システム
教育コンセプト

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地域の現状

当院が位置する洞爺湖町の高齢化率は43.4%(令和41月)、道内では179市町村中33番目に高齢化が進んでいる町です。また近隣3市町の伊達市(38.1% 96番目)、豊浦町(38.1% 100番目)、壮瞥町(41.2% 84番目)も北海道平均32.1%、全国平均28.7%を大きく上回り、高齢化が進んでいる地域です。(Fig. 1)

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高齢化が進むにつれて障害を有している高齢者の増加や障害の重度化、さらに一人の高齢者の方がいくつもの病気や障害を抱えている高齢者も多くなり、介護を必要とする高齢者が年々増加している現状です。

また高齢化に伴い一人暮らし高齢者や老々介護など家庭における介護力の不足も大きな問題となってきています。

わたしたちが洞爺という地域で医療や介護サービスを提供するには、多様な疾患の患者様に対応し退院後の生活へ明確なビジョンをもって繋げていかなくてはいけません。(Fig. 2)

このような様々な対象者の方の人生を理解しようと努力し、生活期で直面する様々な壁を一緒に乗り超え・効果を出せるスペシャリストの育成が必要不可欠となっています。

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Fig.2

当院の現状

当院の組織構成としては疾患別リハビリ、回復期リハビリの他、在宅部門として訪問リハビリ・通所リハビリ、町からの委託事業として介護予防事業・地域支援事業などがあり様々なニーズに対応ができるように事業展開を行っております。しかしそれらのポジションに異動が少なく、各々の業務になかなか関われず、経験の偏りが起きやすい現状がありました。(Fig. 3

またリハビリテーション科の教育体制はあるものの、新人教育のみで他の事業用の教育システムが確立していないのが現状でした。

このような異動の停滞、教育システムの不十分さなどから自分がこの地域医療で期待されること、組織の中で自分がどのような未来を思い描いて自己実現していけるのかが見えにくい仕組みとなっていました。

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Fig.3

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目的

洞爺協会病院リハビリテーション科の新ベーシック教育システムは、ただ仕事を覚える事ではなく"10年後のなりたい自分に近づく"という目標をベースに構成されています。(Fig. 4)

どんな経験を積んでどんなスペシャリストになりたいのか?自分で選択し主体的に経験を積むことができます。洞爺という地域性から、多岐にわたる病態に対応しなければならない私たちは、豊富な知識と技術をベースに更に専門性を高める努力をしていきます。自ら選択した内容だからこそモチベーションを下げずに"なりたい自分"へのステップを組織的にサポートしていきます。より高度な、質の高いリハビリテーションを提供できる人材育成を目指します。

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Fig.4

目標

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教育方法

基礎的な知識と技術を身に着けた3年目以降のスタッフを各ポジションへローテーションし各分野の専門性を高めます。ラダー制度でのトレーニングや科内でのリーダーなどのポジションを経験し個人と組織全体のスキルアップを図ります。OJT、OFFJTも積極的に行いさらにSDS(自己啓発援助制度)機構を構築し個人のモチベーションを高め、なりたい自分へ向けて自己実現のサポートを組織的に行います(Fig. 5)

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Fig.5

リハビリテーション科の人材育成の考え方

わたしたち洞爺協会病院リハビリテーション科は、スタッフ全員が高い目標にチャレンジし、努力し、達成した時の充足感を持てる風土を作り、個々の成長や専門的知識・スキルアップにつなげるため、さまざまな取り組みを行っています。モチベーションを保ちながら、なりたいセラピスト像への到達をサポートできるよう新入職者からラダー制度によるトレーニング、管理職・役職を対象に研修プログラムを作成し、取り組んでいます。日々、組織と個人の成長について検討を重ねています。

わたしたちは医療職として患者様お一人お一人の尊厳を重んじ、質の高いリハビリテーションを提供できるように自己研鑽を怠りません。法令を遵守し、地域医療を支える人材となり社会へ持続的に貢献することが目標です。

参考
  • 北海道保健福祉部高齢者支援局高齢者保健福祉課 北海道の高齢者人口の状況

北海道の高齢者人口の状況 - 保健福祉部高齢者支援局高齢者保健福祉課 (hokkaido.lg.jp)

  • 内閣府 令和3年版 高齢社会白書

高齢社会白書について - 内閣府 (cao.go.jp)

  • 「<地域包括ケア研究会>地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた制度やサービスについての調査研究事業-2040年:多元的社会における 地域包括ケアシステム ―「参加」と「協働」でつくる包摂的な社会―(平成313月)

「<地域包括ケア研究会>地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた制度やサービスについての調査研究事業-2040年:多元的社会における 地域包括ケアシステム ―「参加」と「協働」でつくる包摂的な社会―(平成31年3月)

  • 増 田 剛:リハビリテーション病院におけるセラピストの人事考課制度導入に向けたクリニカルラダー開発 Shodai business review 6 (2), 225-250, 2016-09
  • 公益社団法⼈ ⽇本理学療法⼠協会:「新人理学療法⼠職員研修ガイドライン」 2020
  • 窪田 幸生:理学療法教育・クリニカルラダー、公益社団法人 日本理学療法士協会 協会指定管理者研修資料 2016
  • 松井忠三 著:無印良品の人の育て方 角川書店 2014